保育・教育の現場での生き物飼育方法講座

京都生き物文化研究所ブログ−保育園・幼稚園など幼児教育の現場での生き物飼育に役立つ情報を提供します。

ミニマルなミナミヌマエビの飼い方

今回はミナミヌマエビを見ていきます。Neocaridina denticulata denticulata(Kemp,1918)は日本固有亜種で、基幹種です。亜種のシナヌマエビ(Neocaridina denticulata sinensis(Kemp,1918))とよく似ており、売られているものはシナヌマエビ、あるいは雑種ということも多いようで、見た目はほとんどわかりません。私もわかりません。したがって店で買ってきたミナミヌマエビは放流しないようにお願いします。

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小さいエビで、陸封型のために繁殖も容易で、気がついたら繁殖していることも多いです。小さい赤ちゃんエビ(といっても幼生時代を卵の中で過ごすので、出てくるときはすでにエビの格好をしています)が出現するとやはり感動します。

 

飼育も容易で、私の家では蒸発した水を足してやるだけの管理で三年間世代交代を繰り返しながら(寿命は一年)現在4世代目が生まれています。

 

問題はあまりにもやることがなさすぎて保育園・幼稚園で飼育する意義があるのか、というところです。餌を入れるべきではないと思います。飼育数が多ければいいのですが、数匹レベルではどんなに少なく餌を入れても余って水を汚すことになります。私の家では一回も餌を投入していません。水草が繁茂してますので、その水草を食べていきています。あとは藻類を食べます。

 

いつの間にやら消えていたり、いつの間にやら繁殖していたり、で保育園・幼稚園で生命の尊厳とか、生命を世話する責任とか、そういう類のものを学ばせるには不適です。生き物の根気強い観察力は養えるので、小学校以上では意味があるかもしれません。

 

水質の変化に極めて弱いので、導入時には少し工夫が必要です。底砂を薄く敷いて、エアー(エビの量によってはフィルター)をいれ、しばらく水を回したのちに、ショップで買ってきたら、まず水槽の水を抜いて他の容器に入れ、ショップの袋の水ごとヌマエビを入れ、足りない水を足してゆくという方法がいいと思います。水質の変化で簡単に死にます。したがって水を足す時にも少しずつ、点滴法と呼ばれる方法で足していくべきです。そうしないとエビはいつまでも泳いでいて(これは苦しんでいることを示しています)、やがて死んでいきます。

 

一度立ち上がると頑丈です。しかし暑さには弱いところがあり、ザリガニに次いで強い甲殻類ですが、30度を越えるとボツボツ死んでいきます。ファンなどで水温が上がりすぎないようにしましょう。

 

点滴法とか水温が上がらないようにする方法は、ベテランに聞いてやってもらったほうがいいです。