保育・教育の現場での生き物飼育方法講座

京都生き物文化研究所ブログ−保育園・幼稚園など幼児教育の現場での生き物飼育に役立つ情報を提供します。

ミニマルなザリガニの飼い方

ザリガニ(ここではアメリカザリガニ(Scapulicambarus clarkii(Girard,1852)))の飼い方を見ていきます。

 

ちなみに茶色くて小さいザリガニをニホンザリガニ(Cambaroides japonicus(De Haan,1841)と勘違いする人がいますが、北日本の清冽な渓流にでも行かない限りニホンザリガニは生息していません。理科の先生でもやらかすことがあるのでご注意ください。ちなみに自然分布の南限は秋田県大館市です。

 

水温が20度を超えるとまずいのでクーラー必須のニホンザリガニと違い、アメリカザリガニは少々のことでは死にません。ミニマルな飼い方も本当にミニマルになります。

 

プラケに砂利を薄く敷いて、浅く水を入れ、マツモなどを浮かべる。それだけです。水量は、背中が隠れるくらいです。それより深くすると溺死するリスクが出てきます。

 

「溺死?」と思う方もいらっしゃるでしょうが、ザリガニは図体がそこそこありますので、小さなプラケでは絶対的に水量が不足し、酸素不足になります。ザリガニは足の付け根から水を吸い込んで、エラを通して、呼吸をします。酸素が足りなくなって苦しくなるとザリガニは横倒しになって足の付け根を水面に出します。空気と一緒に水を吸い込んで酸素をなんとか確保しようとします。金魚の鼻あげといっしょです。しかし水深が深いとそれができず、呼吸できなくなって死んでしまいます。

 

背中が出るくらいの水量にする人がいますが、端的に言って間違いです。横倒しになって水面すれすれまでいけばいいので、わざわざ背中を露出させるメリットはありません。格別大きな問題は出ないとは思いますが、水量を少しでも稼いだ方が当然いいので、わざわざ水量をケチる意味がありません。

 

こういう限られたリソースでザリガニを飼う場合は、毎日の全換水が必須です。しかし水質の急変はよろしくないので、あらかじめ水を汲みおいてその水を使うことが鉄則です。同じ場所に置いてあった水ならば、水温はほぼ同じ、毎日水換えしていれば水質もそれほど変わりません。プラケを傾けて水を捨て、水をいれるだけです。私が娘の保育園で毎日水換えを自発的に担当していた時は、数分で完了しました。

 

注意点としてはパン・ご飯粒・スルメなどを与えないことです。ザリガニの餌を買って、それを与えてください。悪臭、水質悪化の原因となり、ザリガニの死亡につながります。

 

もう少しザリガニにとって快適な環境を作り出そうとすれば、コンセントの近くにおいて、エアーポンプと投げ込みフィルターを買ってくれば、水もいっぱい入れることができて、ザリガニも快適に過ごせます。そうなると水換えも毎日少しずつ水を入れ替えればいいし、間隔を開けることもできます。その時は逃亡対策を十分にする必要があります。ザリガニの死亡原因のトップは逃亡です。エアーチューブをよじ登り、水槽の淵にハサミをひっかけ、とにかく上手に逃げ出します。逃げ出したザリガニを見つけ、それがまだ生きていた場合の対処法は次回に書きます。