保育・教育の現場での生き物飼育方法講座

京都生き物文化研究所ブログ−保育園・幼稚園など幼児教育の現場での生き物飼育に役立つ情報を提供します。

ミニマルなメダカの飼い方−水槽立ち上げ4

いろいろ化学式なんぞが出てきてややこしく見えた前回のエントリですが、言いたいことは三つです。

1 魚の飼育は初めが難しい。ここを乗り切ればあとは簡単。

2 その理由は亜硝酸菌と硝酸菌の増殖スピードの差にある。

3 硝化菌(亜硝酸菌と硝酸菌の総称)による浄化で酸性に傾くので水換えが必須。

 

一番最初ですが、硝化サイクル(アンモニア亜硝酸→硝酸)が出来上がるまでは、つまり魚はどんどん死ぬわけです。だから水槽をセットしてすぐに魚を入れてはダメだ、と言われます。

 

硝化サイクルが出来上がる(これをろ過が立ち上がる、と言います)までは、一週間ほど魚を入れずにろ過をしておけ、とよく書いてあります。本当でしょうか?

 

個人的な見解ですが、私はそれに関しては否定的な見解を持っています。魚を入れなければそもそもアンモニアが発生しないわけですから、亜硝酸菌が発生しません。亜硝酸が発生しなければ硝酸も発生しません。つまりいつまで経ってもろ過は立ち上がりません。

 

そこで使われるのが、餌を入れろ、パイロットフィッシュを使え、とかですが、パイロットフィッシュという特別なものを入れるのも何だか、なので、丈夫で自分も好きな魚を少しずつ量を入れていくのはありでしょう。

 

なぜ、一週間も何も入れずに放置しておけ、という考え方が出てきたのか、よくわかりませんが、水草水槽ならば、それもありかと思います。なぜなら、水草水槽はソイルと呼ばれる土を使います。ソイルには有機物が含まれており、それが分解してアンモニアになるからです。逆にソイルを使う場合は一ヶ月くらいは何も入れずに水換えだけを行うそうです。するとうまくろ過が立ち上がる、というのはよく分かります。

 

しかし底砂に大磯や田砂を使うミニマルな飼育法では、有機物は含まれないので、アンモニアも魚を入れない限り発生しません。だから水を張ったら早速魚を投入してオKです。

 

ここで一番効くのが種水と呼ばれるものです。何かといえば、すでに水槽を持っている人の水です。水槽を長期管理している人の水槽の水には硝化菌がたっぷり含まれています。だからいきなりろ過が立ち上がるわけです。

 

メダカを飼育していて立ち上がりに次々に死んでいたのが、他人の水槽の水を入れた途端死ななくなったのは、それが原因です。つまり硝化菌を大量に投入したわけです。

 

でもしばらくするとまたポツポツ死んでいくのはなぜか、というと、亜硝酸中毒になった魚は体力のないものから順序に死んでいきます。体力のあるものは遅れて死にます。一番体力のあったものだけが生き残るのです。だから種水は早く入れた方がいいです。

 

種水のデメリットといえば、変なものを持ち込むリスクがあげられます。私の水槽にはイトタヌキモと黒ひげゴケがついています。今、持ち込むと相手の水槽がイトタヌキモと黒ひげゴケだらけになるかもしれません。難しいところです。以前、娘の保育園に上げた時にはイトタヌキモはなかったので、黒ひげゴケリスクだけでしたが、結論から言えば大丈夫でした。黒ひげゴケの生育条件に保育園はあわなかったのでしょう。

 

種水をもらえない場合は市販のバクテリアを買う、とか、少しずつ魚を入れて行って、死ぬのもやむを得ないと甘受する、とかいろいろあります。こればかりはケースバイケースなので、実際に見てみないと一般論としては論じにくいので、ここではこれくらいにしたいと思います。