保育・教育の現場での生き物飼育方法講座

京都生き物文化研究所ブログ−保育園・幼稚園など幼児教育の現場での生き物飼育に役立つ情報を提供します。

ミニマルなメダカの飼い方−水槽立ち上げ3

水槽に水と水草が入りました。ここでは10リットル前後の水量のプラケと大磯砂少量、マツモを数本という構成にします。

 

さあ、メダカを入れたくなります。

 

しかしここで一つの問題が起こります。いきなりメダカを入れると次々に死ぬ、ということが起こります。なぜでしょう。

 

前回魚の飼育をRPGでたとえると、いきなりボスキャラが出てくるようなものです、と言いました。飼育を始めると、次々に魚が死ぬ、というパターンが出てきます。

 

これは魚の排泄が原因です。魚は老廃物を基本的にエラからアンモニアの形で出します。糞や尿という形よりも、直接エラで出しちゃうんです。水中生活をしていなければ、こういう効率のいい排出方法はとれません。体の中で比較的無害な尿素に変えて、一旦ためこんでから、ある程度たまった段階で排出します。しかし水中に住んでいたら、とりあえず血液中の老廃物を直接出せば、どこかに流れていきます。猛毒のアンモニアをわざわざ毒性の低いものに作り変える必要がありません。

 

しかし水槽では流れてくれません。アンモニアはいつまでも水中に漂い続けて魚を攻撃します。だから死にます。エアーをかけるとアンモニアはかなり低減します。揮発性が高いからです。しかし全部揮発してくれません。

 

しかしアンモニアを好んで食べるバクテリアが存在します。ニトロソモナス属の細菌類が代表的です。アンモニア亜硝酸に分解するときに出るエネルギーを炭酸同化に使うそうです。彼らのことを亜硝酸菌と総称します。

原子式で書くと次のようになります。

2NH3 + 3O2 → 2HNO2 + 2H2O + 158 kcal (660 kJ)

私は残念ながら理系に疎いので何を言ってるのかよく分かりませんが、ようするにアンモニア2NH3 )を亜硝酸(2HNO2 )に変えることを言っています。格好いい感じがするので挙げましたが、理解できなくてもいいです。

 

亜硝酸アンモニアよりは毒性が弱いですが、それでも魚にとっては致命的な毒性です。その亜硝酸を好んで食べるバクテリアがいます。ニトロバクター属が代表的なものです。亜硝酸を硝酸に変えるので硝酸菌と呼びます。

原子式では次のようになります。もちろん理解できなくて構いません。私も理解していません。

NO2- + 1/2 O2 = NO3-, -⊿G = 18 kcal

すみません。何を言ってるのか、自分でも分かりません。どうやら亜硝酸イオン(NO2-)に酸素を加えて硝酸イオン(NO3-,)を作っているのかな、と思います。

 

まとめると以下の式で表されます。

NH3+2O2→  NO3-+H2O+H

となります。度々すみません。私は中学の時にイオンで二度目のつまずきをして、すっかり理科が苦手になりました。ちなみに一度目は電圧と電流と抵抗です。三度目はフレミングの右手の法則です。

ただ理科が苦手な私でもわかることが二つあります。酸素が使われていること、最後に水素イオンが出ていること。水素イオンが出ると酸性に傾く、というのはアクアリウムを始めてから知りました。

 

酸素をたくさん供給してやることは、魚の生存に関わってきます。ただメダカは水流に弱いのでここのさじ加減が難しいです。

 

次に水は酸性に傾くので、どこかで水を換えてやらねばなりません。水換えの必要な理由は従って次の二つになります。汚れを取り除くこと、水質を中性付近に保つことです。水質の維持という側面があるから、水替えはこまめに少しずつ取り替える必要があります。目安としては一週間に一度、水槽の三分の一ずつ、と言われますが、もう少しこまめに少しずつ変える方がいいと言われます。小さな水槽であれば、毎日コップで水をすくいだし、コップで水を補給するだけでもいいと思います。

 

問題は亜硝酸菌と硝酸菌の増殖のスピードが異なることです。亜硝酸菌は比較的すぐに増えてくれるので、魚がアンモニア中毒で死ぬことはほとんどありません。問題は硝酸菌は亜硝酸菌に比べて増殖スピードが遅いので、亜硝酸がたまることです。この間はこまめに大幅に水替えをする必要がありますが、水質の変動に弱いメダカは大変なことになります。いきなりボスキャラが出てくるような感じ、というのは、こういうことが理由になります。

 

いきなり魚を飼うとバタバタ死ぬのは以上のようなことが原因です。

 

ではどうすればいいのでしょうか。それを次回お話しします。