保育・教育の現場での生き物飼育方法講座

京都生き物文化研究所ブログ−保育園・幼稚園など幼児教育の現場での生き物飼育に役立つ情報を提供します。

ミニマルなメダカ飼育法−水槽立ち上げ

ここではメダカを飼育するための最小限の設備を考えます。最小限と言っても、「とりあえず生きています」ではダメです。メダカが元気で幸せそうでないと、園児も感動してくれないし、だいたい楽しくないです。

 

「水槽立ち上げ」を一括せず、それぞれ分けているのは意味があります。メダカと金魚とザリガニはどれも飼育方法が異なります。それぞれに合わせた水槽を立ち上げることがミニマルな飼育法の大原則です。

 

メダカの飼育法のポイントを知るには、メダカという魚の特性を知る必要があります。メダカの特性は、その体型(前から見ると丸っこい)からしてもあまり泳力は強くありません。したがって強い水流を嫌います。実際緩やかな流れのところに住んでおり、水路がコンクリで固められて水流が強くなると生きていけなくなります。

 

水流が緩いところに住む、ということは、逆に言えば水の汚れには耐性があることを意味します。同時に温度のレンジも広く、かなり高温でも耐えます。下手な、というよりもほとんどの熱帯魚よりも高温に耐えます。

 

これは飼育しやすい側面ではありますが、同時に急激な水質の変化には弱いことを示しています。換水に頼る飼育法では長期飼育は望めません。

 

ということで、一番ミニマルに飼おうとすれば、ペットボトルで飼育する方法もあります。詳しくはここを見て下さい。飼育法まで解説してあります。

oitamedakabiyori.com

 

いずれにせよ、メダカの飼育にはフィルターを使わない、という方針でいくといいかと思います。小さな水槽に下手にフィルターを入れると水流でメダカが疲弊することも考えられます。

 

エアーポンプ(いわゆるブクブク)については、条件付きで入れるといいと思います。それはエアーの量を調節できるようにする、ということです。エアーチューブを途中で切って、そこにエアー調整バルブを挟み込んで、それで調整する、という方式です。これで絞れば水流をほどよくつけることができますから、メダカにとっては楽でしょう。

 

底砂は私は大磯砂系でいいと思います。メダカは水質のレンジが広いので、少しくらい水質に影響を及ぼすものでも神経質になることもないと思いますが、「メダカ用」と銘打ったものを選ぶといいかもしれません。あまり粒が小さいと食べ残しや糞が砂の中でヘドロ化します。こまめに砂状のフンなどを処理できるならば、川砂や田砂というものも選択肢に入ってきますが、個人の好みを言えば田砂がオススメです。

 

大磯砂か田砂という選択は、水草や水槽のレイアウトには凝らないことを前提としています。ミニマルな構成ではそこは諦めて、水草を浮かせるのがいいと思います。

 

おすすめはマツモです。根無し草とも言われるマツモはそもそもが水中にただよう植生なので、それで十分に繁殖します。

 

カボンバが比較的よく見られるのですが、個人の体験を言えば、藻類(いわゆるコケ、正しくは珪藻類など)がつきやすい印象です。

 

入れ方ですが、いきなり入れると変な生き物がついてきます。個人的には巻貝類は受け付けませんので、私は巻貝類を入れないようにしています。別に構わない、という人や、カタツムリをかわいい、という趣味もありますので、なんですが、小さな巻貝類(アクアリウムではスネールと呼びます)は二匹入れば雌雄同体なので無秩序に繁殖します。巻貝好きでもかなり見苦しい水景になりますので、入れないに越したことはありません。

 

やり方は、買ってきた水草をよく洗うことですが、奥の手として先っぽだけを入れて、あとは捨てるという手もあります。「もったいない」と思うかもしれませんが、マツモはものすごい勢いで伸びますので、すぐに増えすぎて捨てることになります。どうせ捨てることになるのであれば、最初に捨ててスネール類を入れない方が合理的です。

 

以上をまとめますと、必要なものは、水槽、砂、マツモ、メダカということになります。長くなりましたのでまた続きは次回。